
フジイロノツラナリ
本美濃紙(美濃竹紙工房)/岩絵具/金箔/大﨑膠

シロイハナ キン
本美濃紙(美濃竹紙工房)/岩絵具/金箔/大﨑膠
楚里勇己
たがへし
在学時代、茨城取手校地にて和紙や染料を育てるサークルに属していました。楮やミツマタ、黄檗やクサギを育て観察し、写生をするサークルでした。素材が身近に感じられ、目の前にあるものは何なのかを考える。今思えば自分の制作の基礎はあのサークルに属していたことから学んだことばかりでした。
その中で工房見学などに行き自分の使う材料は誰がどのように、どのような思いで作っているのか。今で言うと野菜やワインなど生産者のこだわりに対して共感する、そのような感覚を得ることができました。その後金箔の職人、ベースとなる和紙の製紙所の工房などを見に行く機会があり、いろいろな思いを聞くことができました。作家たちが思っている以上のこだわりや伝統、思いがありドラマがあります。
今回の美濃紙を触れた時、質の高さを感じました、目の細かさ、色、艶、そして裏打ちをした時の紙の伸び具合、こちらの思いに応えてくれる紙でした。
膠も透明度に加え濃度によって質が変わり、今までとは違う感覚を覚えました。共通して言えることは作った方のこだわり、思いを感じることができたと言うことです。
作品を飾る会場ではいつもその方々の想いを感じながら発表しています。日本画は自分一人で完成するものではなくいろいろな方の力によって作られている。
作品をコレクションしてくれる方がいる、その作品の売上でより良い材料を買う、そうするとより良い材料で作ってもらうことができ、作品の質も上がる。この先の日本画家たちにも使う機会が生まれる。一人の力は少ないですが一人でもその思いに共感いただき、この先も途絶えることなく技術をつなげていければ、こんな素敵なことはないと思います。
そのようなことを思い日々制作しています。
大崎膠試用所感
色がベッコウ飴のように透明度が高く、それにより絵具の発色が高いことに驚いた。製造段階からの繊細な仕事を感じられる。
これまでの制作は京上膠を使い、かなり薄めで制作しているが、同じ様に使用したところ粘り気、定着具合が弱く、膠の濃度をやや濃いめにしたところ粘り気、定着具合ともイメージに近い状態になった。
今回は冬の環境で固まりやすいため、他の時期でも試してみたいと思う。